フランスの賃貸事情

              ~保証人以外の保証制度のある国~

日本で一般化されつつある賃貸借の機関保証(保証人以外の保証)は核家族化した現代社会にあって、個人の保証人を探す手間や負担を軽減する意味で有効に機能していると言えるのだろう。

ただ、この機関保証を導入しているのは日本以外ではフランスだけのようでアメリカ・イギリス・ドイツなどは賃貸借に於いてそもそも保証人を求めていない(但し学生など収入が無い場合は必要。)

調べていくとHouse Law(住宅に関する法律)が各国まちまちであること、そして法律が頻繁に改正されることなのが分かった。各国ともこの住宅政策には苦慮しているのが窺える。生活の基本をなすインフラなのだから当然といえば当然のことである。

「保証人を付けないでだいじょうぶ、なにか秘策でもあるの?」そんな声が聞こえてきそうだ。イギリスの例を挙げれば厳密な入居審査(年収、役職、クレジット履歴、従前住居の滞納履歴などの審査)と、定期借家契約(期間限定)の利用、そして住宅法の違い(明渡しの迅速さ)が保証人を求めないでもやっていける秘策ではないが理由のようだ。

フランスの賃貸借と機関保証について幸運にもリヨン大学で不動産学を専攻し卒業後は政府系の住宅整備事業団体で働いていた、この道の専門家ともいえるフランス人に話を聞くことができた。

まずは気になる機関保証であるが、いままでは賃貸契約にあたっては通常の保証人が必要とされていた。最近は適当な保証人を見つけられない人などにGRL(賃貸借リスク保証)のような機関保証(保険)を進めているという。

ちなみにGRL(Garabtie des Risques Locatifs)は2007年から導入された制度で財源は国、住宅雇用者負担金、そして賃貸人からの保険料でなっている。つまり賃借人の負担は無い。保険料だが個人家主と法人で違い、個人家主は家賃の2.5%、法人の場合は1.8%。保証期間は契約の全期間で保証額は最大賃料の24ケ月分までとのことだ。GRL以外にもLOCA-PASSやGRLといった保険もある。

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