週末は自宅でのんびり、平日はセカンドハウスから会社へ歩いて通勤。こんなマルチハビテーション生活をしている人達がいる。その一人、六本木のIT関連会社につとめる鈴木さんは、いままでは毎日ラッシュで混雑する電車に乗り、両親と一緒に住む鎌倉の家から片道2時間の通勤をしていた。会社は残業が多く、しかも通勤に時間がかかるため、いま話題の六本木にいながら、仕事帰りに友達とゆっくり食事をしたり、ショッピングを楽しんだり、といった時間がとれなかった。
もちろん通勤を楽にしたいと、両親に何度か相談したことはあったが、「一人暮らしは危ないからダメ! 少ない給料でやっていけるの? だいいち部屋を借りるお金あるの?」とそのたびに言われ断念した。「私のOL人生も、会社と家の往復で終わりか・・」と諦めかけていた彼女であったが、帰宅途中に立ち寄った本屋さんで「シェアハウス」についての本を発見。ここから彼女のライフスタイルが一変した。
彼女が選んだシェアハウスは、六本木にある女性限定6人のドミトリータイプ。一緒に住む住人は彼女と同じOLがほとんどで、彼女たちがここを新たな住まいに選んだ理由、そして利点としては、「職場が近くなり、自由な時間が大幅に増えた」「時間を気にしなくても良いので、いろいろ場所に行けるようになった」「初期費用がなく入居が簡単で、賃料が安いので、いやになったら自宅に戻ればいい」「女性同士のシェアなので安全」などを挙げている。また、ほとんどの人が週末には自宅に戻るため親も安心する。なぜ戻るのかというと、ドミトリーの部屋には身の回りの物しか持ち込めないため、ときどき家に着替えなどを持ち帰る必要があるのだ。加えて、たまには自分の部屋でゆっくりしたいという理由もあるようだ。
実際、彼女達の自宅は神奈川、千葉と遠く、このマルチハビテーションは彼女たちの夢をかなえる現実的な選択なのだろう。また一つ新たな住まい方の誕生である。