第30回 文化の違いに対応するには たかが犬、されど犬少子化がもたらす新たな同居人

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日本はいま、少子・高齢化の影響だろうか空前のペットブームである。犬や猫を家族の一員として、生活を共にする人が増えているのだ。この現象は、犬や猫との共生の歴史が長く、しかも少子・高齢化が日本より先に始まった欧米諸国では、以前から見られたもので、日本に限った話ではない。また、日本と同じく急激な少子化で悩む韓国でもペットブームが起きているが、やはり少子化の影響なのだろうか。

そう言えば、私が30年前に訪れたイギリスでは、犬や猫などのペットが「癒し」としての存在だけでなく、「家族」のように扱われていた。ある時、下宿屋の主人が可愛がっていた三毛ネコが突然いなくなり、下宿人みんなでそのネコを捜した。結局、ネコは見つからず、主人はすっかりしょげかえってしまい、それが原因で会社(一流商社)を3日も休んでしまった。その様子を不思議そうに見ていた私に、彼の奥さんが「イギリスでは人間が交通事故に遇ってもニュースにはならないけど、ペットが遇うとニュースになるのよ」とイギリス人のペット好きについて説明してくれた。でも、当時の私には理解できなかった。

さて、ペットが家族同様ともなると、賃貸住宅でトラブルは生じないのだろうか。ペット同居に寛容な国としてはフランスがある。この国では、ペットがいることでの入居拒否は法律的に禁じられている。また、事情は少し違うが韓国や中国の賃貸借においてもペット同居の制約は無い。両国においては、そもそも賃貸借の制約が非常に緩く、部屋の使用は借り手の判断に委ねられている事が多いからだ(一戸建は制約が多い)。一方「猫は家で飼っても犬は外で飼うものだ」とする、東南アジアやアラブ諸国のような国もある(日本もかつてはそうだった)。

200万人を超える外国人、そして186カ国の人々が住む日本。そこには、異なった多くの文化が存在し、それが保持されながら新たなコミュニティーが生まれる。良いよい共生社会を造るためには相互理解が不可欠であり、賃貸住宅はそのための最初の出発点かもしれない。

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