ポーランドの貸借事情! EU加盟で住宅事情はどう変わったか

ポーランドの貸借事情!

~EU加盟で住宅事情はどう変わったか~

1992年にヨーロッパの国家統合体として発足した欧州連合(EU)、現在加盟国は28ヶ国までに広がり加盟国のみならず近隣諸国に対する影響を増している。そこでEUに加盟するメリットについて2004年に加盟国となったポーランドの出身で、この4月から弊社の一員になったMr.maruに「住まい」関することを中心に話を聞いてみた。

EUの加盟国になったことで住宅事情はもちろんのこと政治、経済そして文化面でもポーランドは以前と比べ大きく変化したが、それはここ20年間の出来事。1989年9月からの非社会主義政権(市場開放&民主化)移行、そしてなんと言っても2004年のEU加盟がそのきっかけだと彼はいう。

社会主義政権時代はとにかく全てにおいて物不足、賃貸住宅関係も事情は同じで住居(もちろん公営)を確保するためには、まず公営管理事務所(日本の旧公団公社募集事務所みたいなもの?)に申込をする。申込といっても「空き待ち申込」で希望条件などは聞いてもらえない。先着順で申込後はただ事務所からの「空きが出ました」という連絡をひたすら待つ。2年や3年待つことはざらだという。

住宅は中層(5階建程度)と中高層(10-13階建)のものが多く団地スタイル。イメージとしては30~40年前に建てられた日本の公団住宅が近い。

 各階は平均5~6ユニットからなり、各部屋の平均面積は40㎡前後、広めのタイプで60㎡程度。天井は日本の住宅に比べ高く、バス、トイレは一緒、台所は部屋とは完全に分かれている。

特徴としてはどの建物にも地下室があり、そこを入居者の倉庫として解放。倉庫といっても完全に仕切られているわけではなく、ジュバラの折り戸で囲ってある程度のもの。
 次に入居契約関係であるが、入居にあたっては家賃以外の費用を必要としない。契約期限も定めがなくエンドレスで、賃料のみが途中で変更される。それも封書で連絡がありそれに従って改定された賃料を振り込むだけ。ちなみに賃料は郵便局で支払う。

 住宅で一番の問題となっていたのは、設備とか間取りとかではなく住宅その物が完全に不足していたことだ。家族が増えても子供が大きくなっても、2世帯家族、3世帯家族になっても広い部屋に住み替えることが困難な状態。広い部屋に移るためには前述したように「空き待ちの申込」をし、とにかく長い間待つ。それが20年前のポーランド。

 この状態が民主化により市場が開放され、さらにEUに加盟してからは欧米の風が一挙に吹き始め大きく変化していく。建物は近代的になり、希望する部屋はお金さえあれば容易に確保できるようになった。ただ連絡を待つだけの「空き待ちの申込」などする必要はもうない。

 EU加盟にともない劇的に変わった人の流れ。以前は国内からの流出(出稼ぎ労働者)はあったが、国外からの流入は非常に少なかった。それが今では外資系工場(日本企業ではトヨタやシャープなど)が多く建ち、事務所も数多く新設され多くの外国人が定住するようになった。人の流れが経済の流れを良くした。

そう言えば5月の連休、日本の高速道路は大混雑だった。お陰でドライブインもお客さんで満杯。スケールは違うが日本の“高速料金1000円均一”も人とお金の流を少しは良くしたみたいだ。

by Shuna

                            

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