『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』6月刊行

 

36年に及ぶ事業の歩みを執筆

 

『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』6月刊行
取り組み事例も公開し、賃貸経営に役立つ実務書に
『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』と題する書籍を執筆し、今年6月に週刊住宅新聞社より刊行しました。
 本格的な人口減少社会の到来で、日本の賃貸住宅市場は将来にわたって大幅な規模の縮小に向かう、とする悲観的な民間調査レポートが発表されましたが、本書はこれに対する打開策を提示したものです。これからの日本の賃貸市場は、増加の一途をたどる「在留外国人」に着目し、お客様としてもっと積極的に迎え入れていくべきでしょう。
 全国の空き家率がとうとう過去最悪の13%、820万戸にまで達し(なお、賃貸住宅に限ると空室は19%)、いま大きな社会問題となっている日本の「空き家」。この問題に対しても、外国人マーケットへの取り組みがその解決に向けた一助になり得るとして、データ等を踏まえて提言しています。 
青年期に見た国際都市の風景
 1970年代半ば、大学生だった私は、アメリカのロサンゼルスやイギリスのロンドンなどに、長期にわたり滞在しておりました。そこで目の当たりにしたのは当時、外国から来ていた多くの中長期の滞在者のために、月々の安い家賃だけで気軽に生活できるような住宅がいくつも用意されているという光景でした。国際化が進んだ大都市の姿に目を見張る思いでした。
 「やがて東京も、そんなグローバルな都市になるだろう」そう私は確信し、帰国してから外国人向けの賃貸ビジネスを始めたのです。
 以来36年間にわたって取り組んできた私のビジネスの経験と、それにもとづくノウハウについて取りまとめた原稿を、このたび週刊住宅新聞社より単行本として発行させていただくことになりました。
 本書では(公財)日本賃貸住宅管理協会の国際交流研究会等の外国人居住に関するさまざまな研究成果を盛り込んでおります。賃貸住宅管理の実務に役立つ実用書・マニュアル本としてご活用いただけます。
 また、これまでに私が見聞した外国人入居者たちの愉快なエピソードなどを織りまぜながら、さまざまな国の文化や生活習慣がいかに日本と異なるかについても紹介しております。業界関係者以外の方々にも、興味を持っていただけるものと思います。
 
外国人需要の拡大で好機到来
 では、なぜ今、このような本を出版することにしたのかについて所感を述べさせていただきたいと思います。
 来たる2020年、東京で半世紀ぶりにオリンピックとパラリンピックが開催されます。政府は2020年までに、旅行者等の訪日外国人数を2000万人に倍増させるという目標を掲げています。これは、私たち不動産賃貸業界にとっても大きなビジネスチャンスになるでしょう。
 なぜなら、日本を訪問先に選んだ旅行客などの短期滞在者は、単なる「一見のお客さん」ではないからです。彼らの多くは「リピーター」になっています。
そして、2回、3回…と来日を重ねると、その目的が語学研修やロングステイなどに変わり、滞在期間もだんだんと長期化する傾向が見られます。となると、必要になってくるのが日本での「住まい」です。
 
住宅の国際化、五輪が試金石
 しかし、残念ながら日本の住まいは評判があまりよくありません。国際的に見ても家賃が高く、賃貸借契約の制度や商慣習も複雑なうえに、外国人を歓迎してくれる家主さんや不動産会社がまだまだ少ないからです。オリンピック開催に向けて、日本のグローバル化を進めていこうと官民挙げて取り組むなか、私たち不動産賃貸業界も、外国人受け入れの態勢づくりを急ピッチで進めていく必要があると考えています。
 住まいを通して外国人のお世話をする。こうしたビジネスで、日本のグローバル化に貢献できるポジションにいるのが、私たち不動産賃貸業界ではないでしょうか。
 日本が本物のグローバル化社会へ向かおうとするなら、東京オリンピックはまさに絶好の機会だと考えます。
 私は2020年こそ、明治維新、終戦、 64 年の東京五輪に次ぐ「第4の開国」の年にすべき、と思います。その開国の先導役を担える立場にあるのが、「地域の家主さんや不動産会社だ」と考えております。
 
高齢者、障害者も大切な顧客

 

 ここで話を転じ、もうひとつ別の視点から、日本の賃貸住宅市場が抱える課題―人口減に伴う空き家の増加等の克服について少々言及したいと思います。

 

 今回の著書で私は、人口減で縮小を余儀なくされる賃貸市場において、今後は増加する外国人に着目するよう提案いたしましたが、空室を埋めてくれるのは、決して外国人だけではないはずです。

 

 その一つに、増加する一方の高齢者世帯が挙げられます。たとえば、健常な高齢者が求めている賃貸住宅の付加価値サービスとは何か、といった点について考えてみるのが良いでしょう。

 

 その他、小さな子どものいる世帯、障害者のいる世帯といった、これまでは賃貸業界がどちらかというと歓迎してこなかった世帯に対し、これからは強い意識をもって目を向けることが必要ではないかと考えています。

 

 従来の常識にとらわれない発想の転換が、これからの不動産業者に求められているのではないでしょうか
                                                     
   『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践
 ~訪日外国人2000万人 VS 日本の空き家820万戸~
 ~インバウンド戦略で空き家・空室ゼロ!
【本書の目次】
    (各章の本文見出しは抜粋。全240ページ)
第1章 いま、外国人向け賃貸が面白い
・旅行者も外国人向け賃貸のお客さんになり得る
・「外国人向け」にシフトし、「空き室ゼロ」を実現!
第2章 外国人に貸す不安はこれで解消
・「外国人には貸したくない」のホンネとは?
・家主さんを説得するにはどうするか?
・支払い能力は、こうやって確認する
・こういう外国人は要注意! 
第3章 外国人に選んでもらえる「部屋づくり」とは?
・外国人が「住まい」に求めるものは?
・「3点ユニット&ゴク狭」物件は、外国人には「掘り出し」?
・「畳の部屋あり」をウリにするのも、ひとつの手
・中古戸建て丸ごとを「シェアハウス」として活用 
第4章 外国人のお客さんをどう集めるか?
・外国人向けの宣伝には「口コミ」が強力な武器に
・人材派遣会社や学校、同業者とのパイプで、大量の入居者獲得
・留学生向けのイベントで取り込みの機会を狙う
・国籍別の部屋探しの特徴も知っておこう
第5章 ここが違う! 日本と外国の賃貸ルール
・「礼金」を受け入れてもらう方法とは?
第6章 日本の「生活マナー」を守ってもらうには、どうするか?
・「ゴミ出し」のルールを守ってもらう秘策とは?
・ご近所との「顔の見えるつきあい」がトラブルを減らすカギに
・家賃の滞納を防ぐ秘策は「本人からの手渡し」
第7章 外国人向けの賃貸がつくる新しいつながり
・若いころの海外体験が、いまの私の仕事の原点
・外国人OKの家主さん探しで一苦労
・異文化交流ができる「住まい」をつくりたい!
・次に目指すのは「ハウス」から「ホーム」へ

 

巻末資料

 

    ➀ 賃貸用語の対訳集

 

    ② 英語での接客会話例 

 

    ③ 各国の賃貸条件

 

 

 

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