いま、200万人を超える外国人が日本で生活をしており、その数は毎年過去最高記録を更新している。その外国人にとって、生活の拠点である住居の確保がスムーズに行われているかと言えば、残念ながら「NO!」である。まだまだ家主側に外国人入居に対して不安があるからだ。
その不安の一つは、外国人入居の例で「いつのまにか知らない人に転貸された」とか、「勝手に同居人を増やされた」などの話を耳にすることが多いからだ。
実際のところ、外国人入居ではこうした「無断転貸、無断同居」が、日本人入居に比べてどのくらい多いのだろうか。出身国にもよるが、外国人が無断転貸をする理由には、「外国人は部屋が借りにくい」という事情がある。そのため自力で部屋を借りられない者が、帰国で部屋が不必要になった者から転貸を受ける。
次に「無断同居」であるが、まず考えられるのが数人で住むことで部屋代を安く上げたいとする経済的理由がある。また、国によっては賃借人に人数制限を設けず、借り受けたものが自己責任で部屋を管理する賃貸借のところもあるため、これが日本では重大な契約違反だと気づかずに、母国と同じように行なう者もいる。実際、上海などでは最初から一部転貸を目的に広い部屋を借り、そこからの収入で部屋代をまかなう者もいる。さすが商売上手な上海人だ。
「無断同居」する最も多い理由は、母国から来る友人、知人を一時的に泊まらせるためだ。日本の賃貸借の厳格さから、外国人が来日前に部屋を確保することはかなり難しい。そのため、一旦、友人・知人宅にお世話になり、その後ゆっくり部屋探しをするのが一般的のようだ。つまり友人のアパートは日本における短期宿泊所なのだ。やはり、そこには外国人ならではの必然性や理由があり、「転貸、同居」をするケースは日本人より多そうだ。
そういえば、20~30年前までは日本人でも地方から上京する際は、親戚や友達宅を短期宿泊所にし、馴れたら独立というパターンがあった。