第27回 文化の違いに対応するには「本音と建前がある日本」「クレームやマンションにまである?」

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共同住宅で起こるトラブルの中に騒音問題がある。これは日本人、外国人を問わず発生するトラブルである。だが“日本人・外国人間の騒音トラブル”となると、少し事情は変ってくるようだ。
外国人の場合、時差の関係と料金の関係から電話で話すのが夜になることが多い。また、多くの日本人にとっては耳慣れない言葉のため、違和感を覚えその音に日本人入居者は敏感に反応してしまうことがある。

日本に医学を学ぶために来日し、2年前から賃貸マンションで1人暮らしをしている中国人の孫さんは、ある朝、玄関先で隣の人から「昨日はお友達が来ていて、楽しそうだったわね」と言われたそうだ。そこで孫さんは「はい、昨日は中国から友達が来て、いろいろ話をして楽しかったです」と返事をした。それから2ケ月が経過し、また孫さんのところに友達が遊びに来た。そして、その翌日にトラブルは発生した。隣の人が孫さんのドアを激しくノックし、「この間、言ったわよね! 友だちが来てうるさかったって・・・」と。「この間~」と言われても身に覚えが無く、いつのことか見当もつかなかった孫さんは、ただ黙って相手の話を聞くだけで、一言も言葉を発することができなかった。

翌日、日本人の友達から「それは2ケ月前に隣の人が『友達が来ていて楽しそうだったわね』と言ったことなのよ。その時、隣の人は『昨日はうるさかった』と直接的に言わずに遠まわしに言ったのよ、皮肉かもしれないけど」と孫さんは説明された。その時、孫さんは「あ~そうか、これがいわゆる日本人の“本音と建前”ということなのか」と思ったそうだ。

それにしても、「それほどうるさくしたつもりは無かったし、この建物はマンションと聞いているのに、なぜ?」と孫さんは不思議でならなかった。これまで隣などから騒音めいた物音を聞いたことも無く「マンションでよかった」と思っていた。孫さんのマンションは、確かに外観は豪華で、名前も○○マンションと呼ばれていた。が、建物は2階建ての鉄骨造りで、そのためドアも壁もそれほど厚くなく、入居者は音には気を使って生活していたのだ。物音一つしなかったのはそのためだったのだ。

外国人にとって、難解な日本語なのにその上、会話には“本音と建前”があり、しかも“マンション”と呼ばれているのに“マンション”ではない、こんな“本音と建前”もあるとしたら、外国人にはなおさら難解である。

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