「J&F(Japanese & Foreigner)ハウス」の取り組み その3 広告

●募集は外国人フリーペーパーの広告で

 オープンに向け、さまざまなことを準備しなくてはならない。ただ、建物の管理人(マネージャー)はすんなりと決まった。インターネットで募集すると、なんと1分後に男性(日本人)が応募してきたのだ。「英語の勉強をしたいから」というのが応募理由であったが、人と接するのが大好きという管理人としての必須条件も兼ね揃えていたので、即採用を決めた。
 その反面、物件の改修には少々苦労をした。床下でシロアリが発見されたり、大工が設置した流し台が予定より小さかったため、途中でサイズを変更したり…。また、予算があまりなかったこともあり、壁のペンキ塗りやカーテンレールの取り付け、看板の作成などは私達が行った。このように苦労したぶん、かなり満足した出来上がりにはなった。

 賃貸契約の条件は先にあげた「日本における一般的なゲストハウス」に加えて、家賃は5.5万円(光熱費込み)、期間は原則として1か月以上の定期借家契約とし、短期滞在者の利用の便をはかった。
 さあどうだ!と意気揚々オープンして1か月。悲しいことに、入居申込みはどこからも誰からもなかった。街中でビラ配りを行ったり、英会話学校へ営業に行ったりもしたが、音沙汰なしの日々が続いた(かわいそうなことに、その間、管理人は1人寂しそうに住んでいた)。しかし、1人入ってからが早かった。約半月でほぼ満室となった。広告の出し方を変えてみたのが功を奏したようだ。

 というのも、イチイ産業の国際部では一般賃貸物件の頃から、街中で配られている外国人向けのフリーペーパーを主に広告を出していた。今回のゲストハウス「J&Fハウス」も最初はそれと同様に、大きめの広告を出していたのだ。しかし何の反応もないので、試しに文字だけの小さな広告に変えてみると、問い合わせが殺到。費用の安い目立たない広告のほうが集客能力があったとは皮肉なものである。

(住宅No55号 3月号 「外国人居住の現状と課題」(社団法人日本住宅協会の機関誌)に掲載された記事です。)

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る