ミャンマーの賃貸借事情

ミャンマーの賃貸借事情 
 
~一人で住む人がなく、警察の証明書が必要なアパートとは~
 

今年の夏、ミャンマー人留学生のサンジャさんがインターンとして当社にやってきた。ほんの1ケ月であったがお互いに学ぶことが多かったし、彼女からは多くの興味深い話を聞くことができた。その中の一つ、ミャンマーの賃貸借事情についてご紹介しよう。
 
本題に入る前に、ミャンマー(旧ビルマ)について触れておきたい。ミャンマーは下記の地図を見て分かるようにタイ、ラオス、中国、インドそしてバングラデシュに接し面積は大陸部として東南アジア最大の68万平方km(日本の約1.8倍)、そのため森林資源、鉱物資源、石油・天然ガスなどが豊富な国である。
 
国の人口をウィキペディアで調べると2008年が5002万人とあった。彼女にその数字を言うと「いや~、6000万人はいるよ」と首を振る。最新情報6000万人?の国民はビルマ族(約7割)、シャン族、カレン族、ラカイン族などから構成されていて、その殆ど(約9割)が仏教徒である。
 
さて気になる賃貸借事情であるが、全体として賃貸住宅はそれほど多くなく、そのほとんどが都市部に集中している。また都市部で占める賃貸住宅の割合も30%程度らしい。賃貸住宅はアパートメント(46階建)が殆どで、分譲住宅のコンドミニアム(810建で管理人常駐)もあるが、これを賃貸で借る人は一部の金持ちと事務所使用の会社だけだ。
 
驚いたことにミャンマーでは単身者向けアパートがない。 全て2L3LDK(中二階付、ここはbed roomとして利用)のファミリー向けでしかも日本の同タイプに比べかなり広い。
 
当然、「単身者はどこに住むの?」という疑問が湧いてくる。それを質問すると「都市に出てくる若者は会社の寮や親戚の家に住むか、またはファミリータイプのアパートを借りて45人でシェアする。だから一人で住む人はいない。」とサンジャさんが言う。
 
そのシェアだが、先ず1人が契約しその後ルームメイトを募集する。 ルームシェアはごく一般的で家主もこれを容認しており、家賃さえ払えば何人で住もうがOKというわけだ。「なぜルームシェアか」といえば、理由は経済的な事情によるものだと思う。だが、それ以外にも文化的、慣習的理由もありそうだ。
 
アパートの賃貸条件は礼金無し・敷金3ケ月が一般的で、契約は3ケ月・6ケ月・1年の定期借家契約。賃料は契約期間の全額前払いで、 途中解約すると残存期間の家賃は戻ってこない。但し、次のテナントを自分で見つけてくれば残存期間の前払い家賃は戻ってくる。
 
次に入居審査と必要書類だが、契約にあたって保証人を立てる必要はなくかわりに身元のはっきりした連絡先を届け出る。必要書類としては身分証明書のコピー、地元警察の証明書(犯罪歴がない証明)などが必要。「警察の書類!」と 驚いて聞き返したが、ミャンマーでは結婚、就職と事あるごとに、この書類が求められ特別なことではないと言う。
 
さらに話は「家賃滞納で警察官出動!」と続くが、これは次回とさせていただきます。
 
文責   株式会社イチイ 荻野


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