需要が高まる高齢者向け賃貸住宅とその課題

激変する賃貸事情
 
~需要が高まる高齢者向け賃貸住宅とその課題~
 
 

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激変する経済と社会情勢ですが、私たちの業界においても需要(借主)の変化が一段と激しさを増してきました。特に高齢者対応のケア付き・サービス付き住宅の需要は高く、国も住宅政策の重点目標に掲げ促進しています。ただ、課題も多く見受けられます。

 
先日、当社取扱いの高齢者向け賃貸住宅「笑福長屋」NHKの「おはよう日本」(1/18)で紹介されました。統合失調症という病気のために、なかなか入居申込を受け付けてもらえなかった高齢者と、その家族を取材したものです。
家族が介護に限界を感じ、母親の“終の棲家”を探し始めたのが2年前。20件近くの施設やサービス付き住宅をあたるも、母が抱える「統合失調症」という病気のため入居申込まで至たることはほとんどありませんでした。
「統合失調症」といっても、症状には個人差があり、また環境が変わることで症状に変化が出ることがあります。施設側や斡旋業者が書類審査や簡単な面談で、受け入れの可否を判断するのは容易ではなく、受け入れを拒む例が多いのが現状です。
家族がようやくたどり着いたのが「笑福長屋」でした。面談で施設のオーナーから言われた言葉は、「入居して実際に問題やトラブルがあれば、その時皆で考えましょう」ということでした。あれから2年、病気の症状も落ち着き、特に問題もなくスタッフ、他の入居者と仲良く暮らしております。
国は、急速な高齢者社会に対応するため、ケア付き・サービス付き高齢者向け賃貸住宅を、今後10年間で60万戸供給する目標を立て普及にあたっています。が、問題はその先にもまだまだ偲んでいそうです。
今月、これからの高齢者住宅を考察するうえで参考になるデーター「日本世帯数の将来推計20131月」が国立社会保障・人口問題研究所から発表されました。
 
それによると、少子化でも減ることのなかった世帯数(2010年、5184万世帯)も、19年にピークを迎え、35年には4,956万世帯まで減少すると予想されています。また、平均世帯人員も2.4人から2.2人に減ります。世帯構成割合では「夫婦と子供の世帯」が、この30年で全世帯の28%になり、2035年には23%まで落ち込むと予想されていますが、これは我々が扱う賃貸住宅(ファミリータイプ)の需要が減少することを意味します。
一方、増えるのが65歳以上の世帯で現在の31%から41%になり、その中に占める75歳以上の世帯主割合が、なんと45%から58%にアップすると考えられます。つまり22年後の日本は、全世帯の24%(4軒に1軒)が後期高齢者世帯となるわけです。
 

家族世帯が減る一方で増えるのが一人暮らしの世帯です。10年から35年までの間に167万世帯の増加が予想され、世帯割合でも32%から37%に上昇。特に上昇率の高いのが単独高齢者世帯で、10年と35年比で1.53倍(498万世帯→762万世帯)となり、全世帯の15.3%にものぼります。つまり、これから特に供給を急がなければいけないのが、単独高齢者向けのケア付き、サービス付き住宅や既存建物(持ち家・賃貸)を単独高齢者向けに改修した住宅ということでしょう。

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