近所で評判の掃除大好き外国人
掃除は自分でする国しない国
「隣近所の掃除までする」という評判の、外国人の話を聞いた。毎朝、その外国人の若者達は箒と塵取りを手に、自分達の家だけでなく隣近所やその街区の路地まで掃除をする。彼らは「何者?」と言うと、昼は専門学校、夜は生活費を稼ぐため居酒屋でアルバイトをするパキスタン出身の留学生だ。
そんな彼らが日本に来て最初に直面した問題は、“アパート探し”であった。日本人の保証人が見つけられなく、アパートが借りられなかったのだ。事情を知った彼らのアルバイト先のオーナーである鈴木さんは、「よーし、それでは・・・」と会社名義で1軒家を借り、社宅として彼らに貸す事にした。
大決心をした鈴木さんだが、彼らの引越しの日が近づくにつれ「掃除はきちんとやるだろうか?」「ガスの扱いはどうだろう」「近所とのトラブルは・・・」など、心配や不安がどんどんよぎって来た。そこで彼は学生達に3つの事を守らせることにした。それは”早起き”すること、近所の人に会ったら“挨拶”をすること、そして自分達の家の前だけでなく隣り近所や路地を毎日“掃除”することだ。この3つは鈴木さんが店の運営上守っていることで、店も地域も人と上手くやるコツは同じだろうと考えてのことだ。
だが、依然不安はあった。彼らの中に、日本に来るまで自分で掃除をしたことがなく、掃除は他人(メイドなど)にやってもらうものだと思っている者がいたからだ。パキスタンに限らずインド、エジプトなどでは、特に上流階級とか大金持ちでもなく、ごく普通の共稼ぎ夫婦や独身の勤め人でもメイドを雇い掃除を依頼する。なにしろインドには10億の人口があり、安い労働力を容易に確保できるという背景がある。これは一種のワークシェアリングなのであろう。
そのためか、部屋探しに来るインド人から「部屋の定期掃除はあるのですか?」とか、「部屋の掃除は頼めるのですか?」などの質問がよくある。
さて、パキスタン人の彼らだが、その後も店主の“これが日本のしきたり3カ条”を忠実に守っているため、近所とのコミュニケーションはすこぶる良好らしい。