「J&F(Japanese & Foreigner)ハウス」の取り組み その7 行列のできるJ&Fハウス管理人室
- 2006/5/17
- 異文化共生住宅
行列のできるJ&Fハウス管理人室
「J&Fハウス」ではたいてい朝から、管理人室の前に長い列ができている。「浅草に行きたいけど、行き方がわからない」「会社の面接に行くのだけど、日本のマナーを教えてほしい」「彼女の実家に結婚の挨拶に行くけど、心配だ」などの相談をする居住者の列である。対応する管理人はコンピューターを使って希望地の地図を取り出したり、面接のマニュアル書を見せたりして、日本語と英語を使い分けながら説明を行い、1人が終われば「ハイ次! ハイ次!」といった調子で、手際よく相談に応じていく。
ゲストハウスが大型化するに従い、現場を運営する管理人に求められる役目も多様になる。まずは建物の維持管理役、共用部(キッチン、シャワールーム、リビングルームなど)・専用部(居室)の利用の指導役、そして居住者に快適に住んでもらうためのホスト役などがあるが、大型物件になると、娯楽室やサウナ室、トレーニングジムなどの設備も加わり、また居住者が多い分だけ歓送迎会などのパーティーも多くなるため、全体のコーディネーター役も務めなければならない。
地元のお祭りやバザーなどの催し、年中行事への参加など、住人と地域の人たちとの交流を深めるのも、管理人の重要な仕事である。前述したJ&Fハウス松戸の花火大会パーティーはハウスの屋上で開いたものだが、これも地域文化にふれる恰好のチャンスになる。近所の人たちも続々と訪ねてきたというから、大いに交流が進んだに違いない。
J&Fハウスには大学生、英語会話教師、芸術家、翻訳家や格闘家、見習い料理人そして医者の卵、果ては大学教授などさまざまな人が住んでいて、しかも年齢も国籍もさまざまだ。この居住者達に「住まいのルール」を説明し指導していく管理人には、一般的なビル管理業務以外に語学力、諸外国の文化や宗教に対する知識なども求められる。
また、ホスト役としてホームシック、失恋、失業などに悩む居住者の話をきいてあげることもある。あるときは父親のように厳しく、またあるときは母親のように暖かく見守ってあげ、そして年下の人には兄のように気さくに対応と、ホスト役にも3つの顔があるようだ。J&Fハウスの管理人室はまさに「行列のできる相談所」なのである。