「J&F(Japanese & Foreigner)ハウス」の取り組み その6日常生活やイベントで多様な文化にふれる

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●日常生活やイベントで多様な文化にふれる

 もう少し、「J&Fハウス」の生活をご紹介しよう。前述したように、入居に際して、礼金や更新料は必要ない。入居時の敷金(保証金)2万円と賃料(1か月分)のみである。滞在は原則として1か月以上で、家賃は物件により異なるが、冷蔵庫・テレビ・エアコン付きの個室で月6~8万円(光熱費込み)である。個室の広さは4畳半~6畳くらいだが、部屋には布団もあるため、家具や寝具を買いそろえる必要はない。
 共用リビングには、テレビ、大型冷蔵庫、電子レンジ、調理器具、食器類が備わっているので、食事は自分で作って食べることになる。ホテルのようなサービスはないが、住み込みの管理人(マネージャー)がいて、共用部分の清掃や全体のマネージメントを行っている。管理人はハウス内のイベントも企画する。以下は、千葉県松戸市にあるJ&Fハウスのある夏の日の出来事だ。

 「男子は食堂のイスとテーブルを屋上に運んでください。女子は飲み物と軽食の準備をお願いします」と管理人から日本語と英語の館内放送があった。今日は待ちに待った松戸の花火大会の日である。江戸川河川敷から打ち上げられる8000発の花火は、夜空を大迫力のパノラマと化する。このゲストハウスはそれを間近に楽しむことができるロケーション。そこで日本人住人と管理人が、外国人住人にこのゲストハウスの思い出にしてもらおうと企画した夏の恒例イベントである。

 「今日はいったい何人集まるのかな」「ここの住人が全員で160人だから、半分が参加して80人くらいかな」「いや、友達や近所の人達も来るから100人はこえると思うよ」。そんなやりとりをしながら、イベントの準備が進められた。

 夕方、ゲストハウスに入ると、浴衣や民族衣装を着た住人そして関係者が「こんにちは」「ハロー」「称好」と、それぞれの国の言葉で挨拶をしながら、パーティー会場の屋上に小走りに上がっていく。リビングでは、「ハイ! ハロー」とアフリカから来た自称日本文化研究家のトムが、短めの浴衣を得意そうに着て出迎えてくれた。花火が始まるのに間があったので彼の部屋を覗かせてもらうと、さすが日本通。部屋の真ん中にはテーブル代わりのコタツが置かれ、天井からは提灯がぶらさがっている。コタツに座ると、「何がいいですか?」と飲み物のメニューを出してくれた。そこには抹茶、ほうじ茶、緑茶、煎茶など、なんと20種以上のお茶がリストアップされていて、これには驚かされた。

 「ドカーン、ドカーン」とものすごい音、そして「Oh!」「好漂亮」「ワンダフル」の歓声。あちこちで「こんなの、私の国では見たことない」「あれは何という花火ですか」「風景や火文字などを描く、アイデア花火だよ」と会話が弾む。

 このゲストハウスには常時20か国以上の人が住んでおり、いろいろな言語そして文化の交流があるが、この日は特にボーダレスな1日となったようだ。

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