第13回 不可解な更新料 カナダでは入居者が貰える

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外国人にとって日本の賃貸借システムでどうしても理解できないものに、2年ごとに貸主に支払う「更新料」(この有・無に関しては地域差があり、主に首都圏に存在する)がある。97年に東京都で行なった在住外国人へのアンケート調査「東京都在住外国人生活実態調査報告書」によれば、住まいに対する不満を持つ外国人は9割以上で、その不満原因の上位に「礼金という習慣」が挙げられている。この「礼金という習慣」のなかには「更新料という習慣」も含まれていると推測される。

「Why? これってなぜ支払う必要があるの?」と外国人から疑問視されている「更新料」であるが、諸外国ではこのような金銭の授受はあるのだろうか。答えは「NO」である。

カナダ人のトムは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど各地を回り、人とのふれあいを生活の中心におく英会話講師だ。生活拠点が変るたびにアパートを借り替えるわけであるが、日本以外でこのようなエクストラマネー(特別なお金=更新料)を支払った事は無いと言う。母国カナダでは、契約を延長する際「良いテナントだった」と、日本とは逆になんと貸主側から家賃の1ケ月分のサービスを受けたそうだ。そんな彼だから「ボーナス(更新料)はお金を支払っている方が貰えるものだ」と憤慨する。

また、「日本から更新料を無くすパイオニアになるぞ!」と宣言しているアメリカ人のジムは、ラジオ番組でパーソナリティーなども務める日本通のフリーライターだ。彼の言い分はこうだ、「「レンタカー借りたって延長するのに割高になること無いでしょう。普通は割り引いてくれますよね、なぜ日本のアパートだけは逆に追徴料金取るのですか。全然意味がわからない」と手厳しい。
「更新料」とは、契約の継続的関係を円満に行なうために設けられたと言われている。賃料上昇時代には賃料の低い“継続家賃”と賃料の高い“新規家賃”の賃料差を埋める役割として、更新料がうまく機能してきたようだ。だが、バブル崩壊後賃料は下落し、継続賃料の方が新規賃料より高くなってしまい、賃料差を埋めるという更新料の役目は終わってしまったようだ。まさに習慣として存在している状態である。

外国人流入人口の増加とともに、ボーダレスそしてグローバル化が急速に進んでいる。不動産の賃貸借においても仕組みの改変が求められている。

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