第18回 日本式ホームスティ(その1)留学生のためのベストな住まい普及しない理由はなにか?

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多くの日本人が語学留学の方法として「ホームスティ」を利用している。家族の一員として現地の家族と生活を共にすることで“ナマの生活体験”ができ、しかも語学力が自然と身につくという滞在方法である。留学生にとってこれほど良い居住環境はないのではないだろうか。私も学生時代にこの方法でアメリカ、イギリスでの生活を有意義なものにさせていただいた1人である。

ところで、日本に留学している学生でホームスティをしている学生はどのくらいいるのだろうか。“交換留学制度”や“知人宅”のホームスティの話は聞くが、それ以外ではほとんど聞いたことがない。大学や市区町村などでも紹介の制度を設けているところはあるが、機能しているところは少なさそうだ。「友達でホームスティをしている人はいる?」と中国人、韓国人の留学生にたずねてみたが、「アメリカやヨーロッパに留学している友達でホームスティしている人は多いが、日本でしている人はしらない」と。

3年ほど前、日本語学校で生徒30人に対して「日本での居住形態について」のアンケートを取り、その中でホームスティについてたずねてみた(有効回答23:韓国人13、中国人10)。「ホームスティを望むか」の質問に対し「Yes」と回答した者が10名、「No」が7名、「なんともいえない」が6名であった。また、「ホームスティすることに抵抗があるか」との質問に「抵抗あり」と回答したのはたったの1名だった。この結果から多くの留学生(就学生含む)、特に韓国人学生が日本人の家庭でのホームスティを望んでいることが分った。

その理由としては、前述のとおり“ナマの生活体験”ができ、しかも日本語が自然と身につくことを挙げているが、それ以外に彼らの現況の住まい事情が大きく影響しているように思える。回答者のうち「1人住まい」が13名、残りの17名は「友達などとの同居」である。現在の住まいに対して不満を抱いている者は多く、その理由として「1人住まいの者」は家賃が高いことを挙げ、「同居住まいの者」は部屋の狭さ、プライバシーが確保できないことを挙げている。

つい20~30年ほど前まで、主に学生を対象にする間貸しスタイルの下宿屋が日本にはあったが、時代の流れとともになくなっていった。団塊の世代が学生時代にお世話になったアパートである。どうだろう、今度は団塊の世代が自宅の空き部屋を留学生に日本式ホームスティ先として提供してみては・・・

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