第22回 シェアハウス&ワーク(その1) 働きながら一緒に住むオーペアという方法

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安い費用で海外に長期滞在しながら語学や文化を学ぶ方法として、オーペアという制度(au pair・・・フランス語で相互援助という意味で、外国人家庭で子供の世話や家事などをしながら学校に通う留学方法)があり、フランス、イギリス、アメリカなどに、これを利用して多くの若者が語学留学をしている。

「ひろ子、お願いね」と洗濯物を手渡すシルバーヘアーの大柄なイギリス人女性、「他には、なにかありますか?」と流暢な英語で返答する小柄な日本人留学生のひろ子。「世田谷のお嬢様」で、日本にいるときは自分の靴下さえ洗ったことが無かった彼女だが、今は同居するファミリーの衣類も洗濯する。

ひろ子さんにとって、このファミリーは2軒目である。1軒目では、“生まれて初めて?”の家事作業に「私は女中ではない!」と憤慨し、家から飛び出してしまった。躊躇することなく家から出てしまったものの、先のあても無く、留学を心配する親に「オーペアという制度があるから大丈夫。家の手伝いをしながら、家族の一員として一緒に生活するから、生活費もかからないし、お小遣いももらえるみたいなの。それに家族と同居だから、英語も上達するし、ナマの生活文化に触れることができ最高!」と強引に両親を説得して日本を飛び出してきた。そんなわけで、おめおめここで日本に戻ることなどできなかった。

相談を受けた私はひろ子さんと一緒に、新たなファミリーを探すためロンドンのオーペア紹介事務所を訪ねた。数箇所に行ってみたが、どこも紹介を受けるための登録希望者(スペイン、アラブ、そしてアジア系の若い女性)が多くいた。

2軒目となったイギリス人老夫婦とひろ子さんのオーペア(相互援助)生活が始まった。それはある意味シェアハウスのようだ。子供たちが巣立ち老夫婦だけが住む大きな家。掃除をするのに一苦労するほどの広さだ。一方自費留学生のひろ子さんにとって、イギリスで長期滞在するためには、安い住まいの確保が重要だ。上手く、お互いに無いものを補う形となった。

この他にも、ワーキング・ホリデービザなどを利用し、出会いや交流を求め、働きながら世界を渡り歩いている若者たちがいる。彼らにとっては全てがシェア(持てる者が無い者に分け与え共用する)なのかもしれない。

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