今月、5年ぶりの国勢調査が行なわれ、不動産賃貸管理をしている当社にも調査員から、アパートの入居者(主に単身世帯)ついて、問い合わせが殺到した。今回、私も調査員として自宅周辺の家を訪問したが、高齢者世帯や小規模世帯(単身世帯含む)の多いことに、あらためて驚かされた。
その世帯人員だが、60年の調査時1世帯平均4.14人だったが、00年の調査では2.67人まで減少した。今回、更に低い数字になることは明らかだろう。世帯人員が減って逆に上がるものもある。それは1人あたりの住戸面積である。かつてウサギ小屋と揶揄された日本の住宅事情だが、だいぶ改善されてきた。持ち家の住戸面積に限れば、アメリカを除いた他の国に遅れは取っていない。だが、賃貸住宅の方はいぜんとして狭く、欧米の半分の面積だ。
来日間もない外国人が、部屋探しで最初に驚くのは、アパートの部屋が狭いことだ。先日、IT関係の仕事をしているアメリカ人女性に、ワンルームの部屋を案内した。部屋に入るなり、彼女は目を白黒させながら「部屋は奥にあるのですか?」と言いながら、トイレや浴室のドアを開け始めた。他に部屋が無いことがわかり一言、「私のトイレの大きさと一緒だわ!」。
外国人の中には、この狭さを解消するために畳の部屋を選ぶ者がいる。お寺の離れを間借りしている、日本文学を専攻するフランス人留学生のボロティーさんは、「最近の日本人は洋間とベッドの生活を好むみたいだけど、私は畳とフトンの生活が大好き。昼はリビング、夜はベッドルームに変えられる畳の部屋は、日本人の素晴らしい発明よ!」と話す。
洋室と和室、それぞれ使う人や使う目的によって利点も違うようだ。日本に憧れ、日本文化を学びに来た外国人にとって、和室に住むのは異文化体験であり、楽しい思い出になる。外国人にまねて、「寝るのはベッド、コタツも置かない、畳の必要はまったく無い」と言う日本人も、たまには畳の上で「ごろん」をして、畳に癒されるのもいいかもしれない。