第25回 文化の違いに対応するには 靴を脱ぐ国、脱がない国 ところ変ればマナーも変る?

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ハローズなど名だたるデパートが軒を連ね、外国人旅行者など多くの人が往来するロンドンのリージェント・ストリート。ここを何か探し物でもするかのように、“キョロキョロ”しながら歩く年配のイギリス人女性。彼女はフラットの入居者を探すため、ここを歩いていた。そして、日本人と思われる女性を見つけると、「あなたお部屋を探してない?」と声を掛ける。なぜ日本人女性なのか? それは、以前貸していたのが日本人女性で、部屋の中では靴を脱ぎ、部屋をとても綺麗に使ってくれていた。それが今でも忘れられないからだ。

イギリスもそうだが、欧米のほとんどの国では家の中で靴を脱がない。もちろん人前で、靴を脱ぐことなどはしない。それは“はしたない行為”“マナーに反する行為”だからだ。日本では人前で靴を脱ぐ機会も多く、“はしたない行為”と受け止められることは少ない。外国人(主に欧米人)からすると、新幹線など乗り物の中で、靴を脱ぎ、足を人前にさらす行為は、マナーに反する行為となる(私もそう思う、でも足が楽である)。靴を脱ぐ国、脱がない国、その違いが生まれた原因には、いろいろな文化の違いがありそうだ。

ところで、日本以外の国で部屋の中で靴を脱ぐ国にはどんな国があるのだろうか。インドネシナ、マレーシア、韓国、台湾、インドなどがそうで、タイでは寺院に入る時、イスラム諸国ではモスクに入るときは、宗教上の理由から必ず靴を脱ぐ。また、ボーダレス化がそうさせたのであろうか、まだまだそう多くはないが欧米でも、家の中で靴を脱ぐ人達が現れ出した。

これはアメリカでの話だが、ある日本人留学生が、シェアハウス仲間(アメリカ人、オーストラリア人など日本国籍以外の7人)に「家の中では靴を脱いで生活してみないか?」と提案した。最初は「そんなの面倒だ。今までどおりで良いじゃないか!」と反対する者もいたが、やっていくうちに「床が綺麗になった」「掃除が楽になった」などと反応も変わり、その後、新築の1軒家に皆で移った時は、すっかり靴を脱ぐ生活が定着していたそうだ。

マナーや慣習については「なぜ、そうするの?」と聞かれても、明確に答えることが出来なく、「今までこうしてきたから」、と曖昧に答えてしまうことが多そうだ。日本に来た外国人が、日本の習慣を知らずに土足で部屋に上がってしまい、日本人をビックリさせるのもそのためであろう。多文化多国籍の時代、一度じっくり「なぜ?」を追求してみるのもいいかもしれない。

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