留学生事情

留学生10万人計画」は83年に施行され、目標数字の10万は02年に達成した。その後も順調に数を伸ばし、いまでは13万を上回る(平成18年末現在131,789人)。これには日本語学校の生徒など就学生(平成18年現在36,721人)は含まれていない。その数を合わせると日本には168,510人の外国人学生がいることになる。
国籍別の留学生の数をみると、中国が88,074人と全体の67%を占め、次いで韓国・朝鮮が13%と続く。他にはベトナム、マレーシア、タイ、インドネシアからも多く、留学生の出身国総数は157と国連加盟国191の8割を超える。
在留地域でみると東京が一番多く、次に大阪、そして神奈川、埼玉、千葉と続く。大阪を除く1都3県で全体の過半数を占め、都市に集中する傾向があるようだ。ただ最近は、地方の大学も留学生を積極的に受け入れ始めたため、数の差はあるにしろ日本全国いたるところで留学生を見かけるようになった。
そもそもこの「留学生10万人計画」はどのような経緯で策定されたのだろう。きっかけとなったのは、当時の首相であった中曽根首相がアセアン諸国を訪問した際、シンガポールで元日本留学生たちから「自分たちの息子や娘は日本には留学させたくない」と言われたことからはじまる。それにショックを受けた首相が諮問委員会を作り、21世紀に向けた留学生政策として「留学生10万人計画」を策定したのだ。
最近の新聞報道で「留学生30万人計画」「留学生100万人計画」といったタイトルの記事を目にすることがある。これは少子化の影響で大学が経営困難に落ち入っていることを反映してのことだろうか。いきなり100万人にならないまでも多くなるのは間違いないであろう。
さて、その留学生の住宅事情であるが、文部科学省の「留学生受け入れの概要」(03年)によると、留学生の75%は民間アパートを利用しており、学校の寮や公的施設を利用しているのは20%程度とのことだ。物価の高い日本である、私費留学生、特にアジアからの学生にとって、民間住宅の家賃は経済的に相当負担になるはずだ。彼らはそれをどうのように遣り繰りしながら、日本で生活をしているのだろうか。
(財)日本国際教育協会の「私費外国人留学生生活実態調査」によると、「留学生の平均住居費は関東で3万4千円」ということで、日本人学生の住居費に比べかなり低い。しかし「住居のほとんど(93%)にはバスもしくはシャワー(共同も含む)がついている」という。住居費に大きな差があるのに、設備などに大差がないのはなぜだろうか。そのわけは、友達などと一緒に住むことで負担を減らしているからだ。
留学生が日本人や日本文化に興味を持つきっかけはいろいろで、中学生時代にテレビドラマの「おしん」をみて日本と日本人に興味を抱き、日本に来たというバングラディシュの学生などもいる。せっかく日本に興味を持って遠い国からきている留学生達だ、彼らにもっと快適な住居を提供できないものだろうか。

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