第9回 ゲストハウスの課題 その1 迎賓館それとも下宿

外国人の増加と共にその数を増やし始めたゲストハウスであるが、外国人が日本に増え始めたのはいつごろなのだろうか。1980年以降の日本の経済国際化進展により外国人人口が増えはじめ、特に85年G5(先進国蔵相会議)以降は円高の影響を受け、日本とアジアの経済格差、賃金格差が拡大し、それにともない外国人労働者が日本に急増した。住宅確保に困る外国人の為の下宿屋が“外国人ハウス”と呼ばれ、何時からか“ゲストハウス”と呼ばれるようになったが、それが何時からなのかは定かでない。

さて、私が外国人へ住居の斡旋を始めたのは78年のことである。ちょうどニューカマー(特別永住者と区別して80年ころから急増する外国人のこと)が増え始めた時期である。その当時、すでに“イングリッシュハウス”と呼ばれる“外国人ハウス”はあったが、それは、ただ単に外国人がそこに住むから“外国人ハウス”と呼ばれていたようであった。このような形態の住居を、外国人自身はどう呼んでいたのだろか。想像するに適当な呼び名が無いため“ゲストハウス”とでも呼んでいたのではないだろうか。

ところで、現在のゲストハウスには賃貸借の一つとしての定義があるのだろうか。ゲストハウスを日本語訳すると“迎賓館”となるが、現在運営されているもので程度の差こそあれ、とても迎賓館などと呼べるものはない。仮に“ゲストハウスはどのような賃貸借か”を定義するとすれば、通常の賃貸借と違って礼金などの契約一時金、退室時の煩雑な敷金精算、そして連帯保証人の必要のない簡便な賃貸借で、建物が共用設備の多い共同生活スタイルの賃貸借。そして、今までの日本の賃貸住宅には無かった、“異文化共生のコミュニティーハウス”とでも表現したいような賃貸借住宅ということになるのだろうか。

しだいにその数を増やし市場で認知され始めたゲストハウスだが、いまだにその定義がなされてなく、その存在自体が曖昧である。意外性や可能性、そして非日常性が特徴のゲストハウスであるが、一般賃貸借に比較して整備されていないところも多い。今後の課題としては、何らか統一した基準やルールを定め、今後益々増える多くの外国人そして日本人に、快適に住んでもらえるよう安全で安心できるゲストハウスの運営を目指していく必要があるようだ。

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