海外には、英語を教えながら日本で生活をしてみたいと思っている若者が多くいる。一方、国際化に向け日本人の英語レベルアップを図ろうと、ネイティブの語学教師受け入れに奔走する企業や学校もある。我が国における外国人語学教師の数はまだまだ少なく、国内採用だけでは間に合わず、3人に1人は現地(海外)採用だ。
ここシドニー(オーストラリア)の面接会場は、日本での英語教師をめざす活気溢れる若者で満員である。「みなさん日本に行くにあたって、注意していただきたいことがあります。それは住まいに関してですが、日本でアパートを借りる場合、契約金として賃料の5~6ケ月分が必要になります。またオーストラリアと違って保証人が必要となり、それは日本人でなければなりません」。
この説明のあと会場はどよめき、そして落胆の声があちこちから漏れ出した。「Oh.No! 日本に行きたくて学校で日本語を勉強してきたのに、これじゃ他の国にするしかないかな」と困惑する者。「そんなお金用意するのは無理だし、日本人の保証人?初めて行く国なのにそんな人いるわけないじゃないか。ぜったい無理」と嘆く者。そうかと思えば「オーストラリアにも日本人が多くなってきたけど、彼らはこの国に来る前にオーストラリア人の保証人なんか見つけられるのかね」、と皮肉る者まで現われだした。
日本の国際化が叫ばれ、“ビジットジャパン”の掛け声のせいであろう、多くの外国人旅行者が来日するようになり、短期滞在者に対する対応は徐々にではあるが進んだようにみえる。だが、前述のように日本で長期的に生活しようとする外国人に対しての対応、特に住宅確保に関して改善されたかといえば依然として問題は多く、あまり改善されていないように見受けられる。外国人が他国で生活していくのは、自国とは違い多くの問題を解決して生きていかなければならなく、それが精神的そして経済的に大きな負担となる。
いま日本は他国に例をみない急速な少子高齢化にあり、それを補うため企業は外国人雇用、学校は留学生の確保という動きでそれが促進されている。外国人を受け入れる企業・学校側に社員寮・学生寮の確保がなく、その代替として賃貸アパートがあるのであれば、留学生が日本で生活する上で大きな問題の1つに挙げている“保証人”には学校が、就業者や研修生の“保証人”には企業がなるということを検討してはどうだろうか。