「J&F(Japanese & Foreigner)ハウス」の取り組み その2

住宅No55号 3月号 「外国人居住の現状と課題」(社団法人日本住宅協会の機関誌)に掲載された記事です。    筆者はJ&F(Japanese & Foreigner)ハウス

●J&Fハウス誕生の背景
 古い建物のコンバージョンとして外国人向け賃貸住宅を思いついたのは、学生時代にイギリスでの留学経験をもつ田中であった。田中はロンドンにある日本人向けの情報センターでゲストハウスを紹介されたそうだ。ゲストハウスには外国からきた旅行者や留学生が集い、楽しい出会いやふれあいを生みだす仕掛けがある。ここで暮らしたことでホームシックから解放され、さまざまな文化を学ぶことができた田中は、「これをいつか日本でも…」と胸に抱いていたという。
 私の経験からいっても、海外には旅行者(主にバックパッカー)向けに「バックパッカーズ」「ゲストハウスと」いった格安の宿泊施設が存在し、日本人を含めた多くの外国人旅行者が利用している。共同キッチン・共同トイレが一般的で、建物はそこそこ古く、あまり「キレイ」とか「オシャレ」といった印象ではなかった。それらをヒントに、東京でも新タイプの宿泊施設を作れないかと考えはじめたのである。
 イチイ産業の国際部がそれを試験的に始めたのは1998年、対象は北区の物件だった。まず日本にこのようなタイプのものがないのか調べたところ、「ゲストハウス」「外(国)人ハウス」などの名ですでにいくつか存在していた。とりあえず見てみようということで、2件ほど見学に行った。
 1つは老夫婦が個人で運営している小型(14室)の物件、もう1つは企業が運営している中型(22室)の物件だった。どちらも北区の物件より古い建物であるにもかかわらず、満室であったのには驚いた。一般的なゲストハウスの仕様や居住条件は以下のとおりだが、日本人の保証人がいらないこと、礼金も必要ないというのが、外国人には魅力的だったようだ。

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